着物買取でよくあるトラブルと対策法について
今はお使いになっていない着物の買取をお考えですか?
しかし、大切な着物を初対面の業者に買い取ってもらうのは不安もありますよね。
実際、強引な買取をするなどしてトラブルを起こすような悪質な着物買取業者も残念ながら存在します。
着物買取におけるトラブルに巻き込まれないために、代表的なトラブルとはどのようなものがあるのか、どうすれば避けられるのか、信頼できる着物買取業者を選ぶにはどうすれば良いのか、などを把握しておくことが重要です。
そこで今回は代表的なトラブル例とその対策法をご紹介します。
ぜひ着物を買取に出す前にご覧いただき、後悔のない着物買取にしてもらえればと思います。
着物買取でよくあるトラブルとその対策
悪質な着物買取業者を避けるために重要なことは、そういった業者の手口を知っておくことが有効です。 ここでは代表的なトラブル例と、その対策法について確認していきましょう。
【出張買取のトラブル】押し買い
出張買取とは買取業者の査定員が自宅まで来てくれて査定・買取をしてくれる買取方法です。 着物を持ち運んだり梱包したりする手間が無く、自宅にいながらすべて済ませられる点が便利です。
出張買取における着物買取業者との代表的なトラブルとして挙げられるのが、「押し買い」です。 突然訪問するなどして商品を売りつける「押し売り」はよく聞くかと思いますが、押し買いはその買取版です。
突然自宅に訪問するなどして買取の勧誘をし、利用者にじっくり考える時間を与えないままに買取契約をしてしまう手口です。 また、いきなり自宅に訪問するのではなく、事前に電話で勧誘してから訪問して押し買いするという業者もいるようです。
具体的には、「電話では優しい女性の声で勧誘されたが、実際自宅に来たのは恐そうな男性で断りにくかった」というような事例です。 特に女性の1人暮らしの場合、買取業者が恐くて契約してしまうという気持ちは分かりますよね。
こういった押し買いのトラブルを避けるためには、突然勧誘してくるような買取業者には着物買取を依頼しない、ということが重要です。 自分で調べてみて信頼できそうだと思った業者にのみ、査定を依頼するようにしましょう。
中には突然訪問してきて、断っても「ガソリン代を使ってここまで来ているのだから、買い取るまでは帰れない」などと言って居座ろうとする特に悪質な業者もいるようですが、明らかな違法行為ですので迷わず警察に通報しましょう。
また、利用者の自宅等に訪問しての買取はクーリング・オフ制度の対象になります。 仮に契約書にサインしてしまったとしても、契約の日から起算して8日間は契約を取り消すことができます。 サインしてしまったからと泣き寝入りせず、消費者センター等に相談しましょう。
【出張買取のトラブル】抱き合わせ買取
押し買いと並んで最も多く発生していると言えるトラブルが、「抱き合わせ買取」です。 抱き合わせ買取とは、着物買取を謳っておきながら着物以外の品物を強引に買い取るという手口です。
たとえば「着物買取」と言って訪問しておきながら、着物をざっと見ただけですぐに「貴金属を見せてほしい」などと言い、利用者が査定してもらうことに納得していない品物を勝手に見て買取していく、といったようなケースです。
このような業者に多いのが、「どんなに汚れていたり、古い状態の着物でも買取します」などと甘い言葉で敷居を下げ、訪問してくる業者です。 利用者宅に上がるとこちらのものとばかりに、「この着物は古いので値段がつきませんね。貴金属なら値段がつけられるのですが、持っていませんか?」などと貴金属の査定を要求してきます。
利用者側から「貴金属の買取もしていますか?」という問い合わせがあり、それに応える形で査定するのは問題ないのですが、「着物の査定を依頼したのに貴金属の査定をしつこく要求された」という場合には間違いなく悪徳業者です。
貴金属は販売ルートの確保がしやすく、買取業者としても転売しやすいため、抱き合わせ買取のターゲットになりやすいです。 こういった抱き合わせ買取は毅然として断り、しつこい勧誘を受けた場合には消費者センターに通報しましょう。
【宅配買取のトラブル】トラブル
宅配買取とは売りたい着物を梱包・送付して買取してもらう方法で、査定に立ち会わなくても良く、業者と時間を合わせる必要が無いという点で便利な買取方法です。 しかし、買取業者と顔を合わせることがない、ということからトラブルが起こることもあるようです。
その1点目が、キャンセルできないというトラブルです。 通常の宅配買取では査定後に業者が査定内容を利用者に提示し、利用者が承諾すれば買取するという流れになっています。
しかしトラブルになるケースでは、利用者の承諾なしに勝手に買取をしてしまう、あるいはキャンセルの連絡を受け付けない、といったような悪質な買取業者が報告されています。
具体的には、キャンセルを申し出ると「もう転売してしまったので返せない」と言われたり、キャンセルを依頼するメールを送っても返事がなかったりという事例があります。
こういった場合にもっともストレスのかかる点は、着物を送ってしまっているので手元にないという点でしょう。 大事な着物が悪質な業者の手元にあり、手出しができなくなる、こんなストレスはできることなら体験したくありません。
ようやくキャンセルをすることができたとしても、高額な返送料を請求されることもあります。 キャンセルの手続きで疲れてしまった利用者は、「もういいや」という気分になって支払ってしまうこともあるかと思うのですが、やはり納得できるものではありません。
信頼できると分かっている宅配買取業者であれば良いのですが、大事な着物が手元にないというストレスは小さくありません。 そのため大事な着物を買取に出すには、業者と直接対面して査定してもらえる買取方法を選ぶのが良いでしょう。
また、宅配買取を利用する際には着物を送付するときの送料だけでなく、キャンセル時の返送料についても予め確認しておきましょう。
【買取全般】買い叩き
買い叩きとは、品物を不当に安い価格で買い取るという手口です。 買取業者と利用者との間の情報量のギャップを突いて、相場より安く買い取ろうとする悪質な業者が存在します。
特に着物は買取価格の幅が大きく、なかなか自分で正確な価値を知るのは難しい商材です。「プロが言うならそういうものか」と思ってしまう気持ちも分からなくはないのですが、納得できない価格で売ってしまうのはやはり危険です。
予めおおまかな相場を確認しておく、複数の業者に査定を依頼して査定額を見比べるなどして、不当に安い価格で買い取られることのないようにしましょう。
着物買取でトラブルを回避するためのポイント一覧
着物買取におけるトラブルを避けるために、あらかじめチェックしておくべき点をまとめてみました。 一緒に確認していきましょう。
【対策】着物買取の基礎知識を深めておく
着物買取には大きく分けて持ち込み買取・宅配買取・出張買取の3つの買取方法があります。 それぞれにメリット・デメリットがありますから、事前に確認してご自身に合う買取方法を見つけましょう。
また、お持ちの着物の種類やブランド、作家など、買取価格が高くなる要素がないかを確認しておきましょう。 有名な作家やブランドの着物であれば、インターネットで検索すると相場や買取のポイントなどをまとめた記事も存在します。 ただし相場はあくまでも相場であって実際の買取価格と一致するとは限らないので、参考程度にしておいてください。
【対策】よくあるトラブルの例を確認しておく
この記事にもトラブルの例については掲載していますが、インターネットで検索すれば様々な着物買取の体験談を見ることができます。 トラブルの例を予め知っておくことで事前に対策ができたり、いざという時にも落ち着いて対処できたりするでしょう。
【対策】思い入れの強い着物は慎重に
利用を考えている着物買取業者が本当に信頼できるかどうか見極められるまでは、思い入れの強い着物は査定に出さないというのも1つの手かもしれません。
例えば、特別な思い入れのある着物を宅配買取の査定に出した先が悪徳業者で、キャンセルしたいのに返してもらえないというようなことになってしまうと、後悔してもし切れませんよね。
そこで、初めて利用する着物買取業者には、比較的思い入れが少なく、高値がつかなくても後悔しないものを選んで査定に出すのが良いかもしれません。 特別な思い入れのある着物は、確実に信頼できると分かった着物買取業者にのみ、査定を依頼しましょう。
【対策】複数の着物買取業者に査定を依頼しましょう
信頼できそうな着物買取業者を調べてみることはもちろんですが、その上で複数の業者に査定を依頼してみることが有効です。
複数業者の見積もりを見ることでお持ちの着物の正確な相場を知ることもできますし、その中から最も高い価格をつけてくれた、あるいは最も対応の良かった業者に買取を依頼することができます。
着物買取業者を見比べるときには買取価格だけでなく、スタッフの対応やアフターサービスの充実度も考慮に入れると、よりトラブルを避けやすくなるでしょう。
また、その場で契約せずに一度じっくりと検討する時間をとることで、売るにしても売らないにしてもご自身で納得できる結論を出すことが出来るでしょう。
【対策】無料でキャンセルできる業者を選びましょう
着物の査定を依頼する時には、無料でキャンセルできる業者を選ぶようにしましょう。 先述したようなキャンセルを受け付けない悪徳業者は論外ですが、キャンセルにいちいちお金がかかってしまっては複数業者を見比べるのに苦労してしまいますよね。
無料で気軽にキャンセルができることによって複数業者を見比べやすくなりますし、1度キャンセルして考え直すことができれば冷静に判断できます。買取に対する納得感も変わってくるでしょう。
【対策】勧誘してくる業者には要注意
「押し買い」の項目に例を上げましたが、いきなり自宅を訪問したり電話をかけてきたりして勧誘を行っている業者は要注意です。
そういった業者に査定を依頼すると、やはりトラブルになるケースが多そうです。 大事な着物ですから、ご自身で下調べをして選んだ業者に査定を依頼するようにしましょう。
【対策】初回の訪問では契約しない
押し買いや抱き合わせ買取といったトラブルを避けるために、「初回の訪問では契約しない」とあらかじめ決めておく手もあります。 初回は査定だけにして、1人になってから冷静に考えることでより納得のいく着物買取ができるでしょう。
悪徳業者は巧みな口車でこちらの判断を鈍らせてきますが、「相手が何と言おうと初回の訪問では契約しない」と決めておけばトラブルを避けることができます。
真っ当な業者であればキャンセルすればすぐに引き下がりますから、キャンセル時の対応も含めて冷静に考える時間を持ち、信頼できる着物買取業者を見極めましょう。
【対策】査定に納得がいかない場合は無理に売ってはいけない
複数の業者に査定をしてもらっても、大切な着物に込められた思いからすると見合わない買取価格しかつかない、というケースはあります。 そういった時には無理に買取してもらわず、ほかの選択肢も考えてみましょう。
知り合いにこの着物を必要としている人はいないか、信頼できる先に寄付できないかなど、大切な着物を活かす方法は買取だけではありません。
例えば、寄付された着物をリユースしてポリオワクチンに換え、寄付している団体や、寄付された着物を使って児童養護施設で育った子どもたちに晴れ着での撮影をプレゼントしている団体などもあります。 視野を広く持って、ご自身が納得できる着物の活かし方を考えていきましょう。